開催の意義と目的
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴う巨大な津波や地震動に伴い壊滅的な被害の発生により2万人の人々の生命が失われました。さらに福島第一原子力発電所事故からの放射性物質の漏洩を伴う重大な原子力事故に発展しました。日本はこの東日本大震災からの復興に取り組んでいるところです。東日本大震災の教訓は、大規模電源に頼り過ぎない地域分散型再生可能エネルギーの拡大と定着であり、国内潜在量、発電コストの面からも、その一端を風力発電は担うことができる発電技術です。また、世界的にみても風力発電は、先進国、途上国を含め将来に渡り期待され、導入が進んでいるエネルギーです。一方で我が国の風力発電は、これまで我が国特有の気象条件、系統連系、社会受容‘性など多くの課題にさらされ、多くの分野関係者の努力で解決に導く取り組みを進めてきたものの、遅々として導入が進まない状況が続いていました。そんな中、震災後2012年施行された固定価格買取制度により、ようやく事業性を確保しつつ適切な風力発電導入拡大が見えてきました。また、地域が主体的に風力発電導入に取り組む事例も増えてきました。今まさに大きな一歩を踏み出したところです。
総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会が出した2030年の風力の導入見込みは11~12GW。これは国内の導入ポテンシャル5%にすぎません。今目指すべきは、大いなる目標設定と現実的に解決していく問題の共有、人材育成、産業育成、地域共生、そして世界の潮流を見据えた国内風力エネルギー関係者の英知の結集です。本会では、2020年オリンピック開催に向けて再生可能エネルギー戦略を掲げている東京にて,2030年風力発電の導入目標を36GWに掲げ、風力の更なる拡大に向けたこれからの挑戦を共有し、共に活動していく再スタートの場にしていくことを目的とします。
第15回世界風力エネルギー会議2016東京 組織委員会
組織委員長: 荒川 忠一 東京大学大学院工学系研究科